【最初のご挨拶】 ビデオ第6巻をお買い求め頂き有難うございます。 このビデオは「高齢者の手話」についてお届けいたします。 若者の手話と高齢者の手話では少し違いがあります。 例えば単語て言えば、若者はいまの流行に合った手話を使いますし 高齢者は昔からの手話を使い、その単語が異なっています。 ご存知と思いますが例えば「お風呂」の表現は男女で異なっていたようです。 男性はこうですし女性はこのように表しました。 若い人では差があいまいになっています。 また、「トイレ」の手話は若者はこうですが昔はこのような表現はなく こうとかこうでした。男性はこのようにも表します。違いますね。 さらに口型について言えば若者はまぁ口型をつけることが多いですね。 高齢者の人は口をつむっていたり口型が有っても少ないですね。 なので読み取り出来ないことが多いと思います。 今回は高齢者の方をお招きしてお話をしていただきます。 お話を見終わった後所々解説を致します。 ご自分の経験談です。ではご覧下さい。 【経験談の後】 今の男性のお話し、全部読み取れたでしょうか? たしかに今の若者の手話と高齢者の手話では違いが有ると思いますね。 例えば語彙の中にも差異は沢山あります。 さっそく両者を比較してみましょう。 まず「証拠」です。どうぞ。 今こういう風に表していました。 実際にはこのように表すのでしょうが高齢者の人はこう表しこのようではないですね。 この表現が多いですね。でも聴者が教わる場合はこの様に教わるのでこちらの表現を 見た場合に読み取れなくなるのではないでしょうか。 どちらの表現も同じですが高齢者の方はほとんどこちらの表現が多いようです。 次は「自分勝手」です。どうぞ。 この「自分勝手」は若者ではこう表します。「自分勝手に行く」のようにです。 若者はこのようですが、高齢者はこうでこちらと同じです。 こう表しますね。違いがお分かりだと思います。 次は「黙ってる」です。どうぞ。 これは言わないで黙っていると言う事です。 若者はこんなふうに表しますが高齢者はこうです。 これはみんなに言わないで黙っている時の表現方法です。違いますね。 次は「駅」です。どうぞ。 この表現はこれの事です。若者はこう使いますが高齢者はこうです。 電車が駅に停車する所からきていますね。違っていますね。 次は「歩く」です。どうぞ。 この表現がこう歩くと言うことです。 若者はこういうふうにはっきりと2本の足に見立てて表しますが高齢者はこう表すことが多いです。 2本の立てた指は足を表しその移動とをまとめてこう簡単に表すようです。 次は「我慢」です。どうぞ。 今、若者はこう表しますよね。高齢者はこう片手で表すようです。 私の両親も片手でこう表します。若者の両手とは違いますね。 次は「寒い」です。どうぞ。 若者はこの様に表しますが高齢者の人はこう表します。 この表現は本当に寒い場合に使うことが多いようです。 若者のこういった表現と同じことですね。 次は「ある日」です。どうぞ。 これはある日という事で若者はこの3つ(人によってまちまちですが)でしょうが 高齢者の人はこの様に表します。 次は「苦労」です。どうぞ。 これは本当に大変だった、苦労したと言うことです。 若者はこんな表現をしますが高齢者はこう表します。こちらの表現の2つ使いますね。 若者はこうですね。 次は「作戦」です。どうぞ。 これは作戦とか、この様に家の近くの病院を探すという事です。 若者はこういった表現をしますが、高齢者はこう表し、 あそこに有るのか向こうにあるのか考えると言うことです。 次は「感じ」です。どうぞ。 この手話、若者はこう表し、「あそこに何か居る感じ」と言ったような時の「感じ」です。 高齢者はこの場合はこう表します。違いますね。 次は「入る」です。どうぞ。 これはお店や建物や家に入ると言う事です。つまりある場所に行くという事と同じです。 若者はこうで高齢者はこう表します。 私がなるほどと思ったことは、高齢者の人が入ると言う時に、自分の家や友達の家の場合は こう表します。つまり畳に座るイメージですね。 食堂やデパートの場合はこうです。職場に入る場合もこうです。 若者のこの表現とは違っていますね。 次は口型について少しお話します。 「ついで」です。どうぞ。 この表現のときに2つの口型がみられます。 1つはこうでもう1つはこうです。この2つは意味が異なります。 若者はこう使う人が多いです。この表現は「得」という事ですね。 例えば、お金を払うところが無料だったのでこの表現を使い「得」と言う事ですね。 「無料?!得した!うれしい」といった感じですね。若者はこう使いますね。 高齢者のこの表現は「得」とは違います。 文の流れを見ますと「弟の家とは遠く離れているので、たまたま弟の友達、でなくて、 会社、銀行の友達の女性の家が近いため、ついでに助けてもらう様お願いする」という事でした。 つまり「得」ではなくて「ついで」という事です。 弟と私の家が離れているので来てもらうのが大変なので、変わりに、弟の友達の女性の家が近いので ついでに車で手助けしてもらう」という事です。 この表現は若者ならばこうしますね。 使い方の例文を表現してみます。 「私が家に車で帰る途中、先の道を右に曲がったすぐ近くにに友達の家があるのを思い出して ついでに立ち寄っておしゃべりをして帰った」といったような表し方です。 つまりこの例文の中でのこの表現はついでという意味です。 つぎは使い方についてお話いたします。 まず「証拠」ですが、始めに説明しましたが、使い方を言いますと、聴者の場合「証拠」は 写真やビデオや指紋のようなものを証拠と言います、つまり、実際に有った事を証明できる物を 「証拠」と言いますね。 ろう者の場合は少し違っています。ろう者の場合は自分の経験したこと体験を「証拠」と言います。 おわかりでしょうか?物の有り無しに関わりなく自分が見たり経験したそれが「証拠」なのです。 聴者の場合はきちんと間違いなく正しく表せる物を「証拠」というので少し違いがありますね。 さっきの高齢者も自分の不思議な「証拠」の話があると言っていたのです。 つまり自分の不思議な体験、これを「証拠」と言っているのです。わかりますね。 次は「家に入る」です。この「入る」、そして「出る」ですが、若者はこういう表現になります。 高齢者はこう「入る」と「出る」を表します。 例えば自宅から出る、家に「入って」「出る」となります。 若者の「入る」「出る」と少し違いがありますね。 「入る」「出る」はこんがらないよう注意して判断してください。 「ついで」についてもう少しお話します。 この表現には3つの使い方があり区別されています。 1つめはこの口型での表現。例えば「物をくれるの、得した」と言ったようなばあいの 表現は、得した気持ちを表し、こう表します。 2つめはこの表現で、例えば、結婚の決まった相手の男性は大金持ちで家はあるしすごい車に 乗ってる大変幸せな彼女に対してこう表します(「うらやましい」の意味)。 3つめは「ついで」という事です。例えば「家が近いからついでに行く」という様な表現です。 この3つは使い方が似ているのでこんがらがると思いますが、それぞれ口型が違っています。 1つめは「ポ」の形、2つめと3つめは同じく「ホ」の形ですが表情が違います。 2つめはこの表情でこう表し3つめはこう表します。 1つめとは口型、2つめと3つめは表情が違っており意味も別なものです。 また文の流れからも判断することが必要です。 次は男女の手話の違いをお話します。 年配の人からは、男性の手話と女性の手話では違いが有るとよく言われます。 若い人はそういった事に無頓着です。 最近では女性の力が強くなって逆に男子が弱くなったものだから男性・女性に関係なく 対等に、女性でも男性並みに話す人がいるし男性でも女性っぽく話す人もいます。 なので若者には区別が無くなってるようですが高齢者の人にははっきりと区別されていますね。 例えば高齢者の場合「おいしい」は女性はこうですし男性はこうと違いが有ります。 このような例は他にも沢山ありますが若者はあまり区別しないのでこの辺りの違いも 頭に入れておいてください。 「場所」についてお話いたします。 聴者は講習会などで学ぶ場合に必ず位置を決める必要があります。 例えば母と弟と先生の3人の会話の場合、母が左・弟が前・先生がみ右と一旦決めると ずーっとその位置は崩しません。 例えばこの位置で、母「すみません」、先生「もっと注意するように叱ってください」 母「わかりました」、母が弟に向かってガミガミ・・ の様に位置をはっきりさせて表しますがろう者の場合は位置を決めてこだわったりしません。 自然な表現の中で顔で表し分けをします。 今と同じ文を表してみますとこうなります。 つまり3者は顔で演じ分けますのでちょっとした目の動きがありますが、 わざわざ体の向きを変えたりはせず自然な顔の動きや表情の使い分けで区別します。 ですから聴者は今誰なのか判断できないことが多いと思いますが顔の使い分けで今が母なのか 弟なのかを把握することが大切です。 それには慣れる必要がありますね。使い分けの方法を覚えてください。 ろう者はそれを自然に行っているというのは成長と共に身に付けてきているので 場所を決めるというのではなく自然な表現なのです。 聴者が場所作りを教わってその見方でろう者の表現を見ると読み取れなかったり どうして違うのか不思議になると思いますが、日本手話を使っているろう者、 特に、高齢者になるとさらに顔の使い分けが多くなります。 この使い分けのポイントはやはり「目」とか「表情」の変化です。 例えば「おい、注意しなさい」「私?ごめんなさい」のような時の「注意しなさい」の前の顔から 一転して「ごめんなさい」の顔になるときの切り替え、この動きがそれです。 顔の向きはそのままで表情で切り替えるということです。 ろう者はみんなそうしているので覚えてくださいね。 今の話をあらためてまとめてみましょう。 高齢者の手話と若者の手話の違いは実に沢山有りますが、その中でもポイントを5つお話します。 まず1つめは先ほどもいいましたが単語の使い方の違いです。 例えば「駅」や「遠い」はこういった違いがあります。単語の違いですね。 2つめは口型です。特に若者のほとんどは固有名詞に口型をつけることが多いですね。 または「パ、ピ、プ」といった口型も多いです。 高齢者は口型を全くつけず話をする人が居り、ちょっとした口型をつける人も居ますが 全体的に見ると口型は少ないですね。若い人は多い、そういった違いがあります。 3つめは目です。話をする場合の基本は相手の目を見ますが高齢者の何人かは自分で 考えながら話しをする時に目線が斜め上とか下に向かったりして、あれがこれがと話をする 場合があります。 若者の場合は相手を見て確認を取りながら話します。高齢者の目の動きはまさに三者三様ですが 思い出してる時や文を考えてる時は視線がさまよう場合があります。 4つめですが、単語を表すときの表情です。 若者はハッキリしています、眉の動きなどそうですね。 高齢者の場合もまぁ表情はあります、基本文法的にはありますが、 気持ちを表すときの表情はそうはっきり出さないといった違いが有ります。 また抑揚・リズムです。 若者の場合は抑揚はハッキリしていて、楽しいときは楽しそうに速い手話になり 寂しい場合はゆっくりと寂しい気持ちの手話になり、また楽しくなるといった風に抑揚が大きいです。 高齢者の場合は抑揚は大きくなく寂しくても楽しくても同じような抑揚で一本調子の感じです。 若者は抑揚が大きいですね、テンポも気持ちと結びついていて興奮してるときは早くなり 沈んでいるときはゆっくりといった抑揚ですね。 高齢者はほとんど一定していている感じです。淡々と話をするイメージです。 そういった違いがあります。 「うなずき」も有りますね。若い人はうなずきを沢山つかいます。 そうでしょ?そうでしょ?と言った感じでうなずきを沢山つかいます。 高齢者では時々だけで少ないですね。こんな感じで少ないですね。 若者はこんな感じで違いがありますね。 全体的に言うと、高齢者の場合は淡々と話し表情もそれほどなく口型は使わずに語るといった イメージでしょうか。 若者の場合は体全体を使い表情や口型があり抑揚もあるといった風に違いがありますね。 ですから聴者はどちらかと言うと若者の手話のほうが読み取りやすいでしょう。 口型があり表情がハッキリしてるので通じますね。 講習会で習った手話も若者的なので習ったものが表現されているので理解できる。 他方、高齢者の場合は表情や抑揚が少ないので意味を取り辛く気持ちの判断が難しい。 また口型も少ないので何なのか分からないため読み取れなかったり読み間違ったりすることが 多いでしょう。 しかし通訳をする立場の場合は正しく読み取る必要があるし、 また、高齢者から依頼されることも多いと思いますので心が通じ、読み取りが正しく出来ることが大切です。 したがって高齢者との交流の中から学ぶことも必要ですね。 若者からの学習ももちろん大切ですがそれだけでなく両方学ぶことが大切です。 今、高齢者の数はだんだん少なくなっています。 高齢のため亡くなり若者が年齢を重ねていくわけです。 ですから昔の大物といわれた人が少なくなっていって非常に惜しいことです。 そういった人の手話を見る機会も少なくなるのでビデオ収録をしたり交流の中から学ぶことが 良いと思います。 ではこれで話を終わります。 次のビデオをお楽しみに。